拡大源泉徴収のコードは、5文字の英数字だ。頭が W で、次の1文字が相手の区分、残りの3文字が支払いの種類を指す。この並びの意味が分かったのは 7月になってからで、それまでは提出用の記号としか思っていなかった。
うちは源泉徴収義務者だ。事務所の家賃を払うとき、専門家に報酬を払うとき、支払う前に税を差し引いて、こちらが国に納める。四半期ごとに、誰にいくら払っていくら引いたかの一覧を出す。KAZENA Books がその一覧を組み立てる。
ソフトの中で、コードは支払いの種類に付けていた。家賃にはこのコード、専門家への報酬にはこのコード、というふうに。勘定科目の隣に項目を1つ足すだけの、長くても1日の仕事だと思っていた。名前が税コードなのだから、税の種類を指しているのだろうと。
四半期の一覧は、提出の前に会計士の方に見てもらっている。7月の提出前に、2行を指されて、この相手は法人ではないか、と言われた。1つは事務所が入っている建物の持ち主で、もう1つは機材を借りている先だ。どちらも法人で、どちらも個人向けのコードの下に並んでいた。
金額は1ペソも間違っていない。家賃の拡大源泉は 5% で、相手が個人でも法人でも 5% だ。率が同じなのだから、差し引いた額も、納めた額も、帳簿の合計も、全部正しい。間違っていたのは、どの見出しの下に入れたかだけだった。
コードの2文字目は、支払いをより細かく説明しているのではない。相手が個人か法人かを言っている。つまりあれは分類ではなく、他人について私たちが当局に申し立てている内容だ。額が合っていて申し立てが違うとき、その一覧は受け取ってもらえない。
重いのは、すでにこちらの手を離れているほうだ。差し引いた相手には証明書を渡す。相手はそれで自分の申告の控除を取る。コードは証明書にも印字されている。ちがうコードの証明書は、相手の控除をちがう見出しの下に並べる。私が置いた項目が、他人の申告書の上で形になる。
2四半期分をさかのぼると、214件のうち 31件、差し引いた税で 61,400ペソが、ちがうコードの下にあった。証明書は 9通が既に出ていた。うちの中で静かに直せる話ではなく、受け取った方々に連絡して、差し替えをお願いすることになった。
検証は入れてあった。コードが表にあるか、そのコードに紐づく率と実際に差し引いた率が一致しているか。どちらも毎回通っていた。率とコードは、はじめから合っていたほうの組だ。足りていなかったのは相手の区分で、その項目は計算のどこにも入っていなかった。
直しは、コードを支払いの種類と相手の区分の組み合わせから引く形にした。区分の判定を、相手の登録名に屋号があるかどうかで書いた。それが間違いだった。個人事業主は屋号を持っていて、それでも個人だ。テストの 46件のうち 4件が、今度は逆に倒れた。気づいたのは、その4件のうち1つが、私が個人だと知っている相手だったからだ。名前の形から区分を当てることはできない。
決めた規則はこうなった。相手の区分は推測しない。相手の登録の紙に書かれていることを、人が一度だけ入力する。入力がなければコードは出さず、その行は一覧に入らない。空欄は仕事を止める。まちがった推測は仕事を進めてしまう。止まるほうを選んだ。
KAZENA 側のエンジニアに経緯を送ったら、あちらにも同じ形の様式があると返ってきた。率は相手によらないのに、申告の上での扱いは相手によって変わる。国がちがっても、様式は何を払ったかだけでなく、誰に払ったかを聞く。ソフトでその2つを1つの項目にまとめると、どちらでも同じ壊れ方をする。
1日で終わると見積もって、9日かかった。コードを引き直す処理は半日で書けた。残りは、2四半期分を数え直し、9通の証明書を差し替え、受け取った方に説明する時間だ。事務所ではいま、様式に出る項目を1つ足すときに、これは支払いのことを言っているのか、相手のことを言っているのかを先に聞いている。
最後に断っておく。私は税理士ではない。ここに書いたのは自社の作業の記録であって、源泉徴収の判断は必ず専門家に確認してほしい。