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2026年10月25日

数字は合っていたが、出せる紙ではなかった

Mae(Inspo Nexus Global 代表)

うちのソフトが出した決算書が、鉛筆の書き込みだらけで戻ってきた。会計士の方が1ページずつ見て、直すところに印を付けて、紙のまま事務所に返してくれた。数字そのものが間違っていた箇所は、ひとつも無かった。それでも、そのままでは出せない紙だった。今日はその話を書く。

KAZENA Books は帳簿のソフトだ。日々の仕訳を入れて、残高を見て、月ごとの数字を出す。ただ1年に一度、その数字は帳簿を出て、決まった様式の決算書にならなければいけない。こちらでは SEC に出す。出すのは会計士の方で、我々が渡すのはその材料だ。材料が合っていることと、材料が出せる形になっていることは、別の仕事だった。私はそこを、同じ仕事だと思っていた。

合っているほうは、先に済んでいた。その会社の1年ぶんは 4,180仕訳で、試算表の借方と貸方の差は 0ペソだった。月ごとにも毎月突き合わせてある。だから出力の機能を足すのは、残高を並べて印刷するだけだと見ていた。並べる順番は、こちらで決めていいものだと思っていた。

違った。様式が順番を決めている。資産、負債、資本の並びがあって、資産と負債はそれぞれ流動と固定に分かれる。我々の勘定科目は、資産・負債・資本・収益・費用の5つの型しか持っていなかった。流動か固定かを持っていないので、出力はすべてを流動に入れた。返ってきた紙では、返済が3年がかりの借入 1,450,000ペソが、1年以内に返すものの欄に並んでいた。金額は合っている。置かれた箱が違う。

もっと静かな間違いが、同じ紙にあった。合計が合わない。画面ではセンタボまで持っていて、紙にはペソ単位で出していた。各行はそれぞれ四捨五入して出すのに、合計のほうは丸める前の値から計算していた。だから印刷された行をそのまま足すと、印刷された合計にならない。貸借対照表で 2ペソ、損益計算書で 3ペソだった。

2ペソは小さく見えて、小さくない。紙を受け取った人は、列を上から足す。足して合わなければ、どの行が違うのかを探すことになって、全部を見終わるまで止まらない。しかも直し方は、小数をもっと出すことではない。出す紙はペソ単位で決まっているので、丸めるのを合計より先にして、合計は丸めた行を足した値にする。そのうえで生じる差を、どの行で吸うかを会計のほうで決めておく。数字の見せ方の話ではなく、どこで丸めるかという順番の話だった。

前期の列も足りなかった。様式は今期の横に前期を並べる。我々の出力は1列しか無かった。そしてその会社の帳簿は、Books に入っているのが 8か月ぶんだけだった。持っていないものは出せない。前期の数字は、以前使っていた表計算から会計士の方が手で入れた。ここは我々のソフトが間違っているという話ではなく、我々のソフトに無いという話で、無いことを先に言わなかったほうが悪かった。

それから、出していない書類があった。様式が求めるのは1枚ではなく一組だ。貸借対照表と損益計算書は出していた。資本の変動と、現金の流れ、そして注記は出していなかった。注記は文章で、帳簿の数字からは出てこない。一組のうち半分を出して、出力の機能は出来上がったと引き継ぎの書類に書いていた。

もうひとつ、やめたことがある。GIS を同じ機能から出そうとしていた。株主の数、株式の数、役員。どれも帳簿の中には無い。仕訳をいくらたどっても出てこない数字だ。途中でやめて、画面からも外した。提出に必要なものの全部が会計の数字なのではない、というのを、つくりながら知った。

数え方を決めておいたので、どれだけ良くなったかは数字で言える。最初に渡した版で、会計士の方が手で打ち直した行は 240行のうち 212行だった。2番目の版で 41行。3番目で 0行になった。見積もりのほうは外れた。4日で終わると見ていたものに 19日かかっていて、そのうち出力そのものを書いていたのは 5日だ。残りは、返ってきた紙を1行ずつ読んで、なぜその行に印が付いたのかを会計士の方に聞いていた時間だった。

ソフトの側で変えたのは3つだ。1つ目、勘定科目に、決算書のどの行に入るかと、流動か固定かを持たせた。型だけでは様式に届かない。2つ目、丸めを行で済ませて、合計は丸めた行の和にする。差の置き場所も決めた。3つ目、出力は前期と今期を並べて出し、帳簿に揃っていない期については、半端な列を出すかわりに、揃っていないと紙に書く。KAZENA 側のエンジニアにも渡した。向こうの様式は並びも分け方も別なので、持っていけるのは、様式を科目の側に持たせるという形だけだ。

私が取り違えていたのは、帳簿と様式が答えている質問が別だということだ。帳簿は、何が起きたかに答える。様式は、他の誰かが決めた順番で、何が起きたかに答える。合っている数字が違う箱に入っていれば、それはまだ合っていない。そして、持っていないものを埋める機能はつくれない。つくれるのは、持っていないと先に言うことだけだ。鉛筆の印が 0になった紙を見て、やっと材料を渡したことになったと思った。

ひとつ断っておく。私は税理士ではない。これは自社のソフトをめぐる作業の記録で、決算書や提出の制度の説明としては足りない。どの様式をいつ出すか、どうつくるかの判断は、必ず会計士や専門家に確認してほしい。

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